エッチな同人誌を見せてくれてありがとう!
わたしは『逢わせ屋』をしている。
この人と会いたい、という依頼を受け、その人を探し出し、逢わせる、という一昔前のテレビの企画のような仕事だ。
その日の依頼人は60代ほどのおじさんだった。簡単にいうと死にかけのおじさんだった。もう、いつ死んでもおかしくない、そんなおじさんは息子に会いたいそうだった。息子は20歳の頃に出て行き、15年会っていない、死ぬ前に会いたい。そう涙ながらに訴えかけてきた。私と逢わせ屋さんの仲間たちはその涙に感動、合点承知、力を合わせて捜索した。(足で調べる人、インターネット(めっちゃ画面あるやつ)で調べる人、などキャラ立ちしていた。)
見つかった。息子は35歳、髪はボサボサ、丸いメガネをかけていてそのメガネのレンズは曇っていて、丈の長いスウェットを着ていた。めちゃくちゃだらしない男だった。そして、私はその男に一目惚れをした。理屈ではない。
その男は、なんかパソコンのことをして生計を立てていた。何かはよく知らない。飄々としていて、お父さんが死にかけですよ、と伝えても、そうかあと言っていた。実際に死にかけの父と対面して、お父さんが泣きながら彼を抱きしめても、曖昧に笑って父の背中をさすっていた。
そして彼らは『逢った』のだから、私たちの仕事は終わった。お代を受け取り、契約が終わる。わたしは、通常ではあり得ない行動力で、そのだらしない息子に告白をした。返事はえ〜なんで〜いいけど〜。だった。
交際を始めて最初のデートの時、彼は紙の束を持ってきた。見たことのない笑顔で彼は「これ、僕の趣味。漫画を描いているんだ。」と言った。
紙の束を受け取り、目を落とす。
それはめちゃくちゃエッチな同人誌だった。ジャンプの有名な女のキャラの同人誌だった。絵はめっちゃ下手だった。小5レベルの絵心でナミとか、サクラとか、ルキアとか、そういうキャラがなんかエッチな目にあっているところが描いてあった。
それを見た私は、涙を流す。
「よかった!あなたは何かに熱意を注ぐことができるんだね!見せてくれてありがとう!」
そこで目覚ましがなって、終わり。
今日みた夢の話。
どんな深層心理なんだ。
半年ぶりの更新がこれ。
すみません。